11月1日は、日本における「紅茶の日」です。

折しも、あたたかい紅茶がより美味しく感じられる季節…ほんの少しだけ、普段よりも“紅茶”の存在を強く意識していただければ幸いです。

「紅茶の日」に関する情報も、各種のメディアで目にされることでしょう。このように世の注目を一点に集めることも大切ですが、折角の「おすすめ」が、一年に一日、それこそカップ一杯分だけで終わってしまわないよう、紅茶の業界では「11月は紅茶月間」という取り組みも併せて行っています。

そもそも、これをお読みの皆さまは紅茶に相当な興味をお持ちで、既に日常生活を豊かにする存在として紅茶を日々活用されている方ばかりでしょうが、ぜひ今月は普段にも増して“紅茶”に親しみ、周囲の方にも皆さまが感じておられる「紅茶の良さ」を、それとなくお伝えいただければと思います。

最近、急激な寒さとともに（世情も含め）冬の到来を強く感じます。

もちろん落ち着いて身の回りを観察してみれば、まだほとんど葉が落ちることなく鮮やかに色づいた木々、青空と高い白雲の向こうから降り注ぐ穏やかな陽光、さっと心地よく吹きぬける風、市場や食卓に並ぶ美味しい実りの数々など、心軽く快活に過ごせる秋が今年もちゃんと訪れてくれている、ということは理解できるのですが、やはり恐ろしいほどの暑さだった今夏の記憶もあって、今度はどれほど辛い冬が来るのだろうかと、心身が警戒してしまっているようですね。

しかし思い悩むばかりでは、あっという間に季節は移ってしまいますから、まずはこの短くも爽快な秋のうちに、より暖かく快適に、愉快に過ごせる冬支度をいたしましょう。

では恒例の、熊崎からのご提案です。今年の11月は「いつもと違った紅茶の“楽しみ方”に挑戦してみよう」といたします。

忙しい合間にマグカップでティーバッグ、ゆったりティータイムにティーポットの紅茶と美味しいケーキ、ランチにあわせてたっぷりのアイスティー、とにかくすぐ飲みたいのでＲＴＤ（ペットボトルやパック飲料）、本格的なティーセットで豪華なアフタヌーンティーなど、ちょっと考えただけでも、紅茶には、実にさまざまな提供方法があり、それらは皆さまの身の回りにあふれています。さらに、そのとき飲む紅茶液の抽出方法、茶葉の形態もさまざまですし、紅茶を材料に使ったスイーツなどもあります。

このように多様な活用をされている紅茶、皆さまも「紅茶といえば絶対このシチュエーションでしか飲まないし、使う茶葉、抽出レシピも、必ず同じだよ」ということはないと思いますが、いかがでしょうか？　もちろん「一年を通してみれば、特に自分で用意する場合にはデスクサイドでティーバッグをマグカップで、何かしながら飲むことが一番多いな…」といったように、特に慣れ親しんだスタイルというものはあるでしょうし「紅茶好きの友達とあちこちのアフタヌーンティーやクリームティー巡りをするのが一番！」といったような趣味としてのこだわりもあるでしょう。

皆さまそれぞれが個性的な生活のなかでしっくりときて続けておられる“紅茶を楽しむスタイル”というものはとても大切なものですし、これからも快適に愉快に過ごすために、ますますご活用いただきたいのですが、それに加えて今回は新たに、違った楽しみ方に着目して、ぜひ何か挑戦、体験をしていただきたいというお誘いです。

昨年のコラム などでも触れていますが、私たちの日常生活は、いよいよ新しい時代を迎えています。そのなかで喫茶の文化も、今後どのような未来を切り開くことができるのか、試行錯誤のただなかにあることを強く実感しています。

もちろん後世にならないと結論の出ないことですが、日々、皆さまの発信から読み解かせていただいている「こんな風に楽しみたい、そのためにはこんな商品、こんなレシピがあったら良いのに」という想いは、ティーブレンダーである私や、ご提供させていただく側にとっては大きなヒント、新たな挑戦のきっかけになっているのです。

何でもかまいません、例えば「いつものマグカップの紅茶を抽出するとき、硬度の高い市販のミネラルウォーターを浄水に少し加えて沸かして使ったら、海外旅行先で飲んだような、重めだけれどコクの強い風味の紅茶になって、よりミルクに合った」ですとか、「普段、ＲＴＤやカジュアル系カフェ中心の友達を初めての本格的なアフタヌーンティーに誘ってみたら、選ぶ紅茶の種類やフードペアリングの意見が自分とかなり違って、新鮮味を感じた」、「TEAPOP （炭酸水低温抽出）  のティーソーダを用意して見晴らしの良い山の上で飲んだら、いつもと違う隠れた茶葉の風味を感じた」、などなど…。

この秋、フィーユ・ブルーでも今後を見据え「紅茶を楽しむ秋の10週間」 という、毎週異なる紅茶の楽しみ方のお誘いを10パターン展開する、というキャンペーンに取り組んでいます。今日までに、①旅と紅茶、②スポーツと紅茶、③仕事と紅茶、④本と紅茶、⑤秋のスイーツと紅茶、⑥食べる紅茶、⑦共に楽しむ紅茶、の7テーマまで、紅茶を楽しめそうな場面とアイデア、おすすめのブレンドティー、飲み方のレシピなどを公開しています。残りの3週とともに「いつもと違った紅茶の“楽しみ方”」のご参考に、ぜひご覧ください。

また、オリジナルブレンドの「アーモニー」シリーズは、本年度版の発売に際して、あたかもワインのように、昨年度製造版との飲み比べをするキャンペーン （終了）を実施し、多くのご応募、ご感想をいただくことができましたが、この機会に、これも「同じ紅茶を、いつもと違った視点から味わう」という面白さを感じていただけるように、『ブレンド制作記』をティーブレンダーからの総括として近日発信させていただく準備をしています。

そして、おかげさまでフィーユ・ブルーの Ｘ（旧Twitter）企画「今日の紅茶」はスタートからまる五年を迎えました。ホームページ 「今日の紅茶」まとめでは、スタッフによるその積み重ねの成果を、まとめてご覧いただけるようになっております。凝ったおもてなしのしつらえから飾らない日常まで、あらゆるパターンのティータイム写真が並ぶさまは壮観です。四季折々の、様々な美味しいお菓子との組み合わせにこだわった記録をお楽しみいただくなかに、そこからご自身にとっての「いつものティータイムと違ったシチュエーション」へとつながる発見がありましたら嬉しいです。

まずは折角の11月1日、ご自分にとっての「紅茶の日」にぴったりの一杯を用意して、美味しく楽しいティータイムをお過ごしください！

ティーブレンダー 熊崎 俊太郎