from KUMAZAKI ~ティーブレンダーより 2020.11.01

11月1日は、日本における「紅茶の日」です。折しも、あたたかい紅茶がより美味しく感じられる季節…ほんの少しだけ、普段よりも“紅茶”の存在を強く意識していただければ幸いです。
 
「紅茶の日」に関する情報も、各種のメディアで幾つか目にされることでしょう。このように世の注目を一点に集めることも大切ですが、折角の「おすすめ」が、一年に一日、それこそカップ一杯分だけで終わってしまわないよう、紅茶の業界では「11月は紅茶月間」という取り組みも併せて行っています。  
 
そもそも、これをお読みの皆さまは紅茶に興味をお持ちの方でしょうし、既に日常生活を豊かにする存在として紅茶を日々活用されている方も多いと存じますが、ぜひ今月は普段にも増して“紅茶”に親しみ、できれば周囲の方にもこの良さを少しでもお伝えいただければ、と思います。 
世界的なCOVID-19問題で、異例の年となりました。  
 
11月1日に、このスタイルで原稿を書かせていただくのも10年目となりますが、お決まりの冒頭より「この日にあわせて各地で様々な【イベント】が行われます」という部分を削ることになる、まさかの事態。  
 
罹患された方にお見舞い申し上げますとともに、ご快癒をお祈りいたします。もちろん皆さま例外なく生活に何らかの実害を被っておられるでしょうし、これ以上の感染拡大阻止、予防や治療の確立を願うばかりですが、予想だにしなかった「日常」の変貌に、やはり世界は驚きに満ちている、と痛感させられています。  
 
さて恒例の、熊崎からのご提案も10回目です。今年の11月は「あらゆる手段で“紅茶”のある“交流”に挑戦しましょう」といたします。  
 
上記で【イベント】と強調させていただきましたが、今年も実際のところは、情勢に危機感を持った方々が新時代に向けての取り組みを一気に加速させたため、いわゆる「リモート」の催事企画やSNSの更なる活用など、形を変えての紅茶イベントが多数開催されます。  
 
フィーユ・ブルーでもTwitter のハッシュタグ利用などは以前から取り組んでいましたが、近い将来にWebを活用した企画がもう少し増やせるよう、準備を進めています。
https://twitter.com/feuillesbleues/

 
驚いたのは、これまで電子機器が大の苦手と敬遠しておられた、旧知の「紅茶/お菓子教室の先生」や「スィーツ/カフェ店主」の方々が、操作を覚え、Web会議システムを使ったセミナーやミーティングを開催する、SNSアカウントやWebページを新規開設する、といった動きが今春以降相次いだことです。  
 
それだけ社会が急激に変わりつつあるという実感とともに、何かを伝え交流したいという「人間の意志」の強さ、ここで原動力となっている「紅茶の魅力」の将来などについて、改めて考えさせられました。  
 
フィーユ・ブルーでも、新しい日常体験の手ごたえを得たスタッフの発案で「リモートお茶会セット」(終了)という商品の企画を立ち上げて販売を始め、ご好評をいただいております。  
 
同じ内容の紅茶詰め合わせを双方にお送りし(お茶菓子も示し合わせて同種のものを購入や手作りしていただくことをお薦め)、Webを介して画面のこちらと向こう側のお宅でリモートお茶会を開いたり、たとえ時間が合わなくても同時期に同じものを召し上がったという「体験の共有」で後日更なる交流と親睦をはかっていただこう、というご提案です。  
 
今後も様々なアイディアが世に登場して、今回のご提案に掲げた“紅茶”のある“交流”は新たな形で拡大してゆくことを期待しておりますし、私もあれこれと、ちょっと悪戯めいたものも含め、計画を立てつつあります。  
 
しかし、こういった流れがあるのに、何故に冒頭の一文で今回は【イベント】を削ったかといえば、言い換えればここでいうイベントは、ある程度の規模をもった「催し物」を指しているからです。  
 
私としては、ひとびとが自由に直接、何らかの場に集って交流し、そこでは思いがけない出会いや知見も生まれること、それが「催し物」の良さである(併せて企画内容を問わず交流を円滑にする強力な存在として紅茶が活用されてしかるべき)、と常々考えています。  
新しい生活様式では、「催し物」の良さが発揮された各種イベントについては(紅茶をテーマにしたものも含め)、残念ながら当面、慎重を期す必要があります。しかし反面、ここにきて俄然脚光を浴びている紅茶のイベントがあること、皆さまお気づきでしょうか……そう、それは飲食店やホテルでの「アフタヌーンティー」です。  
 
SNSやニュースサイトなどでも、アフタヌーンティーに関する情報はかなり増えてきていることは、皆さま既に感じておられたと思いますが、ビジネス面から考えても、「密の回避が可能」、「客単価が高い」ということで、いまこそ取り組むべき企画という意識が飲食業の現場で高まっています。  
 
アフタヌーンティーは飲食店側にとって純粋な費用対効果の点で極めて難しい、付加価値前提の挑戦です。私も年々危惧していましたが、経営を考えると、どうしても過密なスイーツビュッフェ(デザートバイキング)の方に軍配が上がりますし、これを代替企画としてしまえば、アフタヌーンティーの歴史的背景が持つ本来の長所は失われてしまいます。  
 
しかし、今回の感染症対策問題で立場が逆転しました。そして取り組む店舗が増えれば、競争原理が働きメニュー内容やサーヴィスの質は向上します(現状はその裏側で出勤者抑制や原材料不足により提供側が苦心していることについてはぜひご理解ください)。  
 
思いがけない出会いや経験、の部分については大規模なイベントに敵いませんが、親睦を深め、紅茶や食の探究をするためには、アフタヌーンティーはすばらしい舞台です。ぜひこの機に GoTo キャンペーンなどの補助事業も活用し、お誘いあわせのうえ、飲食店やホテルのアフタヌーンティーをご堪能ください。  
 
こういった世相を踏まえ、今年の11月は「あらゆる手段で“紅茶”のある“交流”に挑戦しましょう」とご提案させていただきました。そろそろ「新しい生活様式」に沿ったかたちで、大切な方との交流をはかるべく、(慎重にではありますが)行動すべき時でしょう。  
 
もちろんその前提には日常的な「ステイホーム」のティータイムがあるわけですが、今月はご自身のための紅茶も、どなたかとその情報や体験を共有する、ということを考えながら楽しんでみてはいかがでしょうか? 
 
併せて、ご自宅でも紅茶をたっぷりと用意して #おうちアフタヌーンティー に挑戦を!  
 

おかげさまで、フィーユ・ブルー Twitterの連載投稿「今日の紅茶」も二周年となりました。
https://feuillesbleues.com/today/

ホームページ  では、スタッフによるその積み重ねの成果をご覧いただけるようになっております。改めて一望してみると、数百点のティータイム写真が並ぶさまは壮観です。四季折々の、そして様々な美味しいお菓子との組み合わせにこだわった、楽しいティータイムの記録を振り返ってお楽しみいただき、今日召し上がる茶葉の選択や、お茶請けなどの「お取り寄せ」の参考にしていただければ嬉しいです。  

ともあれ、こういった毎日の美味しく楽しい積み重ねによる“心の糧”を、より深く大きなものとして得ていただけるように…と調合したフィーユ・ブルーの各種ブレンドティーが、年間を通して皆さまのお手元でその力を発揮できれば、と願って、弊社一同、日々努力しております。そのために私もフィーユ・ブルーのティーブレンダーとして、ブレンド個々において風味の明確さ、アレンジのし易さ、拡がりにつながる要素の多さ、を同時に実現できるよう、常に工夫を凝らしております。皆さまのご理解、ご愛顧に改めて感謝いたします。  
 
「新しい生活様式」がやってきたことで、例年より長文とさせていただきました。
 
まずは折角の11月1日「紅茶の日」、お久しぶりの連絡を誰に取ろうかな、今度は誰をアフタヌーンティーに誘おうかな、と考えを巡らせつつ、美味しく楽しいティータイムをお過ごしください!
 
ティーブレンダー 熊崎 俊太郎

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