10Jyuの秘密 -ティーブレンダーより
2017.11.30
フィーユ・ブル―では10周年を迎え、昨年末より、復刻版アーモニーの販売をはじめ、記念すべき年として、様々な取り組みを行ってまいりました。その締めくくりとして、ティーブレンダー熊崎俊太郎の10年のブレンドの集大成として、またフィーユ・ブル―の根底に流れる「思想」をあらわしたブレンドとして「10 Jyu」を開発いたしました。
まもなく終売予定の10周年記念ブレンド「10 Jyu」。製品が持つさまざまな特徴については、これまでの連載コラムや付属の「10book」で、多角的にお伝えして参りましたが、実際にお届けした皆さまから、企画意図を汲んでご堪能いただいたことが伝わってくるメッセージを多数頂戴いたしました。ありがとうございます。
お一人で、あるいはご一緒に、このブレンドティーをお手元で調合して楽しみながら、紅茶ブレンドの面白さ、紅茶葉本来の素晴らしさなどを改めて感じていただくことができたようで、とてもうれしい気持ちでおります。
熊崎が開発当初に狙ったブレンドバランスでのサンプル茶葉も、ご購入いただいた皆さまのお手元に届いたことですし、ブレンドに託したアイディアについて少しだけ補足し、連載の結びとさせていただきます。
まずネーミングについて。10周年に10種の茶葉を使ったブレンドを、というだけでなく「じゅう」という音から連想されるさまざまな要素も、組み立てにひと役かっています。素案をまとめる際には、アトリエで紙に記した同音異義語の漢字一文字一文字に、さまざまな茶葉の風味の記憶を当てはめる遊び(⁉)もしました。皆さまもぜひこれを飲みつつ、私の「10 Jyu」は「重」だ、いや「柔」!それとも「充」?といった言葉遊びはいかがでしょうか。
「10book」をご覧になった方で、紅茶の産地情報にこだわりのある方はお気づきかと思いますが、今回は普遍的な紅茶の旨味を明快に体現している産地茶葉(アッサム・ニルギリ・キャンディ・ディンブラ・ケニア等)の要素をあえて封印しています。これらの茶葉に、風味の調整をしっかりと担わせ、最終的に紅茶らしく仕上げるのが熊崎ブレンドの基本路線なのですが、今回は、大好きで得意な手段を使わないというのも、節目の自分に課した裏のテーマだったのです。
他にも、連載(「10 Jyu の物語-3」)にもあった「無音無景」というブレンドとの関係など(打ち消し合う無音と、溶け合い消える無音の違い、なんてどう説明したらよいものやら)、ここで書き連ねるよりは試飲しながらの紅茶講座を開くのが手っ取り早いような要素も、たっぷりと詰め込ませていただきました。
ともあれこれで10周年、プロジェクトはまる一年にも及んでしまいましたが、アマチュア時代も含めて30年の活動に、ひと区切りがつけられた満足感を覚えています。そして日頃、製品化や提供販売に携わってくださっている皆さまにも、この場で改めて御礼申し上げます。
これからも、皆さまの日常をちょっとだけ豊かにする紅茶を、ご提案させていただければ幸いです。
ティーブレンダー 熊崎 俊太郎
コラム 10の物語
https://feuillesbleues.com/column/jyu/
現在の販売はございません