今回はティーブレンダー 熊崎俊太郎が長くテーマとして取り組んでいるアッサムとローズのブレンドの中で、アーモニーとして開発した本ブレンドについての位置づけ、アーモニーブレンドとの関係性など熊崎からお伝えします。

アーモニーとしての「フーガ」への取り組み

「フーガ」は、アッサムとローズを素材の軸にしています。ローズは高貴な香りで紅茶に華やぎを与えてくれる存在で、フィーユ・ブルーでもさまざまなブレンドティーの副材料となっています。

実は“アッサム地方産の紅茶”とローズの組み合わせというテーマには20年以上こだわりを持って取り組んでいるのですが、フィーユ・ブルーの商品としては今回が初登場となりました。複雑なアイデアを投じて作るブレンドの意図をうまくお伝えしきれるのか…と、これまであたためてきてしまいましたが、コラムをより充実させた形式でお伝えできるようになった新ホームページができ、10周年記念商品（アーモニーシリーズ4種セット・ブレンド解説付）発売後の今であれば、情報とブレンドティーとを併せてお届けできると考え、制作にとりかかりました。

フィーユ・ブルー アーモニーシリーズ共通の特徴である、深い奥行きと繊細さ、素材の調和を「フーガ」にも感じていただけると思います。

アーモニー「アリア」、「ロンド」との関係性

「フーガ」は、ひと口でそれとわかる（少し風変わりな）アッサムの味わいが複数あらわれ、ほのかに甘く複雑な花の香りがふんわりとたちのぼり、最後は熟成されたアイリッシュウイスキーのような余韻が残ります。これまでこのコラムでお伝えしてきたように、このブレンドのために複数種のアッサム紅茶、ローズ花弁、茉莉春毫、正山小種を意図的に組み合わせたわけですが、配合バランスは10周年記念に再発売した「アリア」と「ロンド」と同系列の考えに基づいて工夫しています。

「アリア」では、セイロンのキャンディと、クールなミックスハーブとの調和を考えつつ、使用したミント、ラヴェンダー、ローズマリーの配合で作り出した均衡による独特の風味、そして個々のハーブと紅茶との組み合わせが全体に複雑さを与え、主題である“抒情的で清涼感のある甘さ”を生み出しています。

また、「ロンド」では、ダージリン、キームン、ベルガモットオレンジで、いわば二つのアールグレイを同時に重ね合わせつつ、カモミールとリンデン二つの柔和なハーブの組み合わせが全体に複雑な調和をもたらし、主題である“重なり合い調和のとれた香味”を生み出しています。

味わいは「アリア」の前進する爽やかさ、「ロンド」の折り返す香ばしさ、「フーガ」の追いかける甘さと、それぞれ明確に異なる特徴を持っているのですが、これらの複雑な風味を生み出すうえで、材料A：B+C、B：A+C、C：A+B、といった“単体の特定材料”に対する、“他材料の複合”を熟考して配合比率を決めるという同じ方針でつくられています。大雑把は説明にはなりますが「アリア」の特徴は1種の紅茶と3種のハーブの関係で（これゆえ「アリア」は複雑そうで真っ直ぐな風味になっている）、「ロンド」の特徴は1種の紅茶と2種のハーブの関係を２セット重ねて（これゆえ「ロンド」は香味が折り返す）、そして「フーガ」は3種に見立てた1種の紅茶（アッサム）と1種（ローズ）に見立てた3種のハーブとの関係で（これゆえ「フーガ」は“単調そうな複雑さ”を持っている）、それぞれ組み立てられているのです。

もちろん、他のブレンドもそれぞれに様々なアイデアとテクニックを使って作り上げているのですが、似た手法を取り入れると風味の個性はまるで異なっても雰囲気はどこか似たものになるな、とブレンダー自身、折々に製品を飲み比べてはそう思うのでした。

＜フーガ発売開始＞
発売をスタートいたします。
アーモニーとしてのフーガを楽しんで頂くため、フーガのみ、フーガ×エテュード、フーガ×アリア、フーガ×ロンドの組み合わせもご用意しました。こだわりのブレンドを様々にお楽しみください。

数量限定　アーモニーフーガ BOX(個包装30ティーバッグ、ブレンド解説カード、ブレンダーズノート付き、特製BOOK式BOX)

数量限定　アーモニーFUGUE-フーガ　缶（15ティーバッグ缶、ブレンド解説カード、ブレンダーズノート付き、セット販売有）

＜次回＞
「フーガ」にはブレンドバランスと材料の見立てを熟考することで、ローズの香るアッサムであると同時にローズティーともアッサムティーとも言い切れない不思議で多面的な風味を持たせています。では、このイメージは一体どこから生まれたのか…。

次回は、ブレンダーによる「フーガ」の楽しみ方。どうぞお楽しみに。

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