今シーズンの特別限定ブレンド「アーモニー フーガ(FUGUE)」。皆様にいよいよご紹介できる準備ができました。マスターティーブレンダー 熊崎俊太郎が長年こだわってきたテーマのひとつでもある、アッサムとローズを主軸にしたブレンドは、これまでもいくつかの作品として発表してきましたが、「フーガ」は製品化するにあたり、改めてアッサムを多面的に捉えなおすことで、アッサムという紅茶の本来の美味しさと持ち味を表現した特別なブレンドです。本コラムではこのブレンドの特徴をご案内してまいります。一杯の紅茶にこめられたブレンドへの思い、複雑な仕掛けなどブレンドの背景を紅茶とともにお楽しみください。

FUGUE-フーガの背景② ティーブレンダーより

「フーガ」でブレンドしたアッサムの意図

音楽用語“フーガ”とは、日本語では「遁走曲」「追復曲」と訳される、対位法による多声の音楽。複数のアッサムを意図的に異なる産地茶葉に見立ててブレンドすることで生まれる、「フーガ」の重層的な味わいは主題(テーマ)とその模倣(応答)が次々と現れるこのスタイルに重なります。

今回の「フーガ」で、アッサムをどのように捉えブレンドしたのかをティーブレンダー 熊崎俊太郎よりお伝えします。

アッサムには特別なこだわりがあります。

今でこそ、世界各地で産するお茶の多様な個性に魅せられて活動していますが、紅茶に興味を持ち始めた学生時代、やはり、英国スタイルの紅茶やエスニックな雰囲気のカフェ(チャイのベースといえばやはりアッサムですから)への憧れもあり、最初に強く意識した産地はアッサムでした。20代に師事した先生方からもアッサムの魅力についてたくさんのことを教えていただきました。
フィーユ・ブルーにおいても多数のブレンドティーでアッサムは風味の重要な部分を担っています。これは20代に得た知識とその後の経験とで、アッサムの特性を自分なりに理解し活用を試みた結果なのです。

アッサムには、紅茶を紅茶らしく味わうための“コク”があります。

広大なアッサム地方ではさまざまなタイプの紅茶が大量に生産されていますから(一説には6万以上の茶園がある)、厳密にいえばひと括りにすることはできませんが、茶園、生産年や時期、製法、グレード(形状)、品質といった区分すべてで、紅茶らしい“コク”が感じられます。そこで、ブレンドティーをつくり出す時には、製品のコンセプトごとに、その微妙な“コク”の違いを使い分けているのです。

一般的なブレンドティーでアッサムを使用する場合、「アッサムらしさ」を真正面から追及する方法、「コクのある素材」として風味の組み立てに使う方法、あるいは「アッサム系英国風紅茶」を日本で楽しむために、産地としてのアッサムにこだわらず複数産地の茶葉を使ってブレンドに工夫をこらす方法があります。フィーユ・ブルーでは「パルフェタムール」や「ピーチ&ピーチ」では風味の組み立てに、「エテュード」や「ロイヤルブレンド」では複数産地の茶葉で英国風紅茶のニュアンスを引き出しています。そして「キャラメル」は全ての要素を複合的に使ってブレンドしています。

今回の「フーガ」では、これらとはまた別の方法として「アッサムらしさ」を多角的に捉えなおし、意外性のある活用をしてみる、というコンセプトを持たせています。そのため、あえて抽出の容易なアッサムCTCタイプをベースに、アッサム(TG)BOPタイプ、若干のアッサム・ゴールデンチップ、つまり複数の製法による「アッサム茶葉」を、それぞれ複数茶園かつ異なる生産時期の茶葉を使ってブレンドし、シーンによりさまざまに楽しめる複雑さの実現と「紅茶らしい旨味を感じさせてくれる存在としてのアッサム」という主題の絞り込みを狙っているのです。

<次回>
「フーガ」はアッサムとは異なる風味を漂わせる不思議なブレンドに仕上がっていますが、それには「産地茶葉の個性に、強い印象を持つ別の茶葉などを微量加えることで揺らぎを与える」というアイディアを使っています。

そのアイディアと使用した素材については次回。どうぞお楽しみに。

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