2021.10.04
チョコレートは甘いチョコ味のケーキやシロップとして様々なスタイルで親しまれ、ココアやホットチョコレートなど飲料としても長い歴史を持っています。また、ここ数年でスーパーフードとしての面からも認知されつつあるカカオニブ(豆部分)や、ハーブティーとしての利用が目立ってきたカカオシェル(外皮部分)など、近年「カカオ豆」そのものにも関心が高まり、加えてこれまでは隠し味的に使われていた料理の世界でも、食材として取り上げる考え方が根付いてきています。
15周年を迎える2021年の冬に、フィーユ・ブルーらしい“チョコレートの紅茶”を開発することとしました。
フィーユ・ブルーには『チョコレートと紅茶』というテーマでいえば、イーツとしてのチョコレートとのペアリングを念頭に開発した「パルフェタムール」が創立時から存在し、この15年で愛される定番商品として、またフィーユ・ブルーらしい紅茶として存在しています。開発時には風味の強いチョコレートをより美味しく活かし、また紅茶自信の味わいが楽しめるよう、紅茶を味わうときの流れに着眼し、どんなチョコレートとも相性のよいブレンドを作り出しました。
コラム:フィーユ・ブルー「パルフェタムール」(チョコレートと溶け合うパルフェタムールの秘密)
今回は「パルフェタムール」とは別のアプローチで、本来のチョコレートの風味、カカオの味わいとはどんなものなのか、紅茶として、どんな味わいであるのかを追求し“チョコレートの紅茶”を開発することとしたのです。
どのようなチョコレートをどのように捉えブレンドしたのか、ブレンドの開発について熊崎俊太郎よりお伝えします。
相性が良いのであれば当然、次はブレンドに取り込んで使おう、という考えになるし、実際、チョコレートティーについても長年、勉強と試作は行っていた。これまで踏み切らなかったのは、既製品も多くがチョコレートの香りがする紅茶、という範疇から出ていないように感じられ、何より市場での反応をみると、チョコレートが持つ強烈な先入観から「変わり種」という扱いがほとんどで、時期尚早といえる難しさを感じてたからだ。
しかし、ここにきて、先ほど挙げたようにカカオの使われ方も広がり、甘くないカカオそのものへの関心が高まり、茶系飲料についても様々なチャレンジが歓迎される流れが訪れたように思い、15周年のこの冬にパルフェタムールとは別のアプローチでチョコレートと紅茶について考えたブレンドティーを販売することとし、「チョコレート風味の紅茶」の開発をスタートした。
フィーユ・ブルーのティーブレンダーとして常々掲げているブレンドの着地点、基本命題となるのは①茶葉感の尊重、②副材料の意義、③素材感の調和だ。それらをクリアするため、まずはカカオ豆を産地、部位、加工方法などを理解するため、様々なタイプのものを取り寄せて味わってみることにした。
検討の結果、今回はハーブティーの素材として注目されているカカオシェルをあえて候補から外して副材料はカカオニブに絞ることにし、世界各地のものを比較したうえで、日本では市販のチョコレート菓子でなじみの深いテイストのガーナ産を選定した。
また、チョコレートの風味における鍵は「酸味」であると以前より強く感じていたため、紅茶葉の風味とカカオが出会った時の酸味の飛び出し方が違和感に繋がらないよう、先に決定したカカオニブとの相性をみつつ、檻の出口や隙間を塞いでゆく感覚で、複数のアッサムを軸に、スリランカやケニア系統の茶葉を使って、ベースとなるブレンドティーを組み立ててみた。
カカオニブの配合比については、妥当と思われる比率と、同時に極端と思われる多めのポイントをバランス上に設定して紅茶葉をブレンドしてみて検討も行った。
結果、社内での試作品試飲検討では、妥当な比率の方で落着しが、この仕掛けがあることで、長時間蒸らしてカカオの風味がやや過剰となっても、紅茶の印象や全体的な飲み口の良さが失われないようなものが完成した。チョコレートに合う紅茶としてパルフェタムールを創業時に開発し、15周年の今、チョコレートの風味を活かす紅茶を作り出した。
テ・ショコラではどのような風味を目指したのか、どんな風に楽しんでもらいたいのかは、また次回に。
ティーブレンダー 熊崎俊太郎
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紅茶で表したのは、甘いだけではないチョコレートの香ばしさやほろ苦さ、奥に感じる少しばかりの酸味。あらためてチョコレートの本質的な美味しさへの気づきにもなるような味わいをもたせました。
選別、粉砕、焙煎したカカオ豆であるカカオニブも加えたことで、抽出時間による風味の変化も楽しい紅茶です。カカオのほろ苦さと紅茶のコクをストレートで味わうもよし、レンチンミルクティーでカカオの味わいをさらに抽出したショコラミルクティーを楽しむもよし、これまでとまた違う紅茶遊びができそうなブレンドティーになりました。
缶のロゴはこれまでのブルーより、より深く濃い青、ミッドナイトブルーに。